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各地方の安全監督局が行うPSCに対し、我が国は中央の安全監督局が権利を与える方式を取りました。PSCの権利を与える港には条件があり、例えば、年間の入港外国船の総数が200隻を超えるとか、船を修理する能力があるかなどがこれにあたります。これまでに、20の港の安全監督局に権利を与えました。1990年7月1日には、大連、天津、煙台、青島等9つの安全監督局に、1991年9月1日には、秦皇島、南京、海南の3つの安全監督局に、1996年7月22日には、営口、南通、張家港等8つの安全監督局に権利を与えました。
1989年から1996年の間に、港の安全検査管理委員の養成のための訓練課程を6回設け、訓練参加人員は298人に達しました。また、船体検査の訓練課程も3回設け、訓練参加人員は143人になります。全国の安全監督局は、北方、華東、華南の3つの区分に分かれてそれぞれ安全検査技術の検討が行われています。3地区における検討会は11日におよび、主な検討内容は、船体検査、装備検査、操縦性能検査などです。今年5月には上海で全国船舶検査工作会議を開催しました。そこでは、PSCに対する専門研究と配置について検討しました。関係国際条約及び規則に基づき、国内外の船舶に対し厳格に検査を行い、基準に合致しない船舶にに対しては、出港を禁止したり問題点を直ちに改善するよう命令しました。
PSCについては、国際的な協力を重要視しています。東京MOUのメンバーとして、中国は4回の委員会、2回の検査員検討会、3回のデータベース主任会議を含むあらゆる活動に参加しています。私達は13人の職員を派遣してPSCのセミナーにも参加しました。また、オランダ、オーストラリアともPSCの協力を行っています。中国国内ではPSCコンピュータネットワークが設置されており、北京データバンクセンターとカナダデータバンクセンターはすでにネットワークが接続されています。
今年中に、日照、福州、アモイ等4つの港にPSC検査の権限を与える予定です。これによってPSC検査の権限を持つ港は24になり、中国沿海の主要な港をカバーすることになります。私達はこれから更にPSC検査の力量を高めなければなりません。現在最も重点を置いているのは、客船、油タンカー、LPG船及び高速船の安全検査です。これは、海洋汚染の防止につながると思います。以上が2つめの問題についての説明です。
3つめに説明しますのは、中国の船員試験、証書の発行及びSTCW条約の1995年の改正案に対する準備作業の状況についてです。
先ほど、林局長もお話しましたが、中国における船員の試験、証書の発行、船員の教育・管理は政府が直接行っており、これを担当している機関が私達安全監督局です。また、船員手帳も発行しています。
中国の海技免状は、無限航区、近洋航区、沿海航区、近岸航区の4つの区分に分かれています。試験制度は3級に分かれており、1級は普通の船員、2級は一等航海士、一等機関士、3級は船長、機関長です。現在、無限航区と沿海航区の海員試験は全国で実施されています。全国30の試験会場で毎年2回、1月と7月に実施しており、試験期問は5日です。すでに17回の試験を実施し、毎年1万5千人が受験しています。
1995年に改正されたSTCW条約を履行し、中国の海員の質の向上を図るため、1996年1月から船員の訓練に許可証制度を取り入れ、45の海員訓練例えば基本安全訓練、ARPA訓練、GMDSS操作訓練等を実施しています。全国59の訓練所で訓練を行い、許可証を発行しています。全国の船員管理はコンピュータに入力されており、他のSTCW条約締結国も中国の海員の資格、訓練状況について調べることが可能です。
国際海事機関(IMO)は1995年にSTCWの全面改正を行いました。2年にわたるSTCW改正作業の

 

 

 

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